2012/04/04

近い立体 遠い立体 /日常の中から考える3【文=マツモトモエコ】

一番身近なところの「立体」はなんだろうか、
身近って意味では自分の体が一番近いんじゃないかとまずは考えた。
部分的には目で見ることができるし、触って直接確かめることができる。
動かすこともできるし体が繋がっているのは感じる。

でも、身体感覚=体そのものの具体的な形じゃない。
見えない感覚から自分の「1つの立体」としての形を「確認」することは難しい。
体の立体的な構成を知っても、知識がすぐに自分の身体感覚になるわけでもない。


自分の全体像は写真に映ったり鏡に映ることで客観的に意識できるものじゃないだろうか。
ウツシたりして遠回りをしないと1つの立体物だと確かめることができないなら遠いものにも思える。

色々なものが立体物として作られていて、その中で人の形をしたものは多い。
フィギュアやオモチャでは作る人自身の像はほとんどなくて、
憧れの形だったり、想像の形、理想の形、客観的に理解するための物だったりする。

もし形になっている対象が作っている本人の場合、それは自分についての確認作業じゃないだろうか。
近いようで遠い存在だからこそ確認することで、あらためて自分の形を確かめているんだと思う。

自分の体が一番近いように最初は思ったけど、
実は立体としてなら日用品や他人のほうがよっぽど立体としてはすぐに認識できる。
そっちのほうがよっぽど身近な立体かもしれない。

(3 人体-1対象)