2012/03/23

近い立体、遠い立体/日常の中から考える 2 文=松本萌子

草間彌生 「永遠の永遠の永遠」を見てきた。
(大阪の国立国際美術館で2012 1/7〜4/8)



2004年から2011年までの絵が中心の展示で、インスタレーションもあり、立体もある展示だった。
入り口からドットのFRPの立体、ドットのバルーン、床のドットのマル、ガラス面の赤いドットの群れ。



黄色に黒の線とドットのカボチャ、赤いドットに覆われた白い部屋に白いでかいチューリップもあった。
彼女の立体はドットと色で覆われていて、その物の形体よりも表面の色や模様の印象が強く残る。
形そのものの意味合いよりも形を覆っていく色や物の表面にどんどん転移していくドットの役割がでかくて、
視覚的な装置としての立体だと感じた。


近所のセブンイレブンで、ペプシのおまけでついてきたBE@RBRICK。


BE@RBRICKはキャラクター、ブランド、作家とコラボして
クマの形をベースに表面のプリントが変化する。
形はクマなのに、ブランドものになるし、キャンバスにも人にもなるしロボにもモンスターにもなる。
立体なんだけど「BE@RBRICK」の特徴はその表面にある。
「表面」の変化で色々なものになることができる。

この2つの立体は、やりかたはちがうけど
『立体での表面的な色や面の表現で形以外のことを表現している』ってことに気づいた。

「彫刻」ってくくってある物は色を使わないものも多くて材料そのままの表面だったりする。
でも、表面を覆いなおすことも、素材そのままにしとくことも「表面」についての問題だ。
どんな物でも透けてない限り内側は見えないし目でみえるのは表面まででしかない。
立体の「表面」は、どんなに中に身がつまっていたとしても、
その物の意味や意図という内容(中身)を表現してしまうということになる気がした。

(2 表面)